透明水彩の表現の幅を広げる技法について解説【便利な技法編】

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透明水彩の表現の幅を広げる技法について解説【便利な技法編】



別記事「透明水彩でよく使う技法についてわかりやすく解説【基本編】」に引き続き、 透明水彩でよく使われる技法についての解説です。

基本編では基本とされる「ウォッシュ」や「ウェット オン ドライ」、「ウェット イン ウェット」 といった技法についてお話しするとともに、やり方のコツについても解説しました。

今回の記事では知っていなくても困らないけれど、 できると水彩での表現の幅が広がると思われるいくつかの技法をご紹介したいと思います。

知っていると便利な水彩の技法

知らなくても水彩画を描くのには困りませんが、 知っているといろんな表現が可能になる、水彩の技法をご紹介します、

とりあえずこういうものがあるんだということを頭に入れておくと、いざというとき役立つかもしれません。

ハードエッジ

紙の上に、水で溶いた絵の具を置いた際、 以下のように乾いたときに絵の具のくっきりとしたエッジ(輪郭)が残る場合がありますよね。



このエッジを意図して作るための技法を、ハードエッジと呼びます。
ハードエッジ

絵の具のエッジ(輪郭)を作る技法

何のためにエッジを出すのか?ですが、 ハードエッジを利用して絵の輪郭をくっきりとさせられれば、 ともすればぼんやりとしがちな水彩画にシャープさを追加できますよね。

また単純に模様としても活用できます。

絵の具のエッジが出る条件は様々であるため、 意図して出すには慣れが必要ですが、覚えておくと役立つはずです。



以下の記事で、ハードエッジの使い方とそのコツについて詳しく解説していますので、 興味をお持ちの方はご覧いただければと思います。

参考:水彩でハードエッジを作る方法について解説

バックラン

透明水彩でよく使う技法についてわかりやすく解説【基本編】でご紹介した、 「ウェット イン ウェット」の仲間の一つとして、「バックラン」と呼ばれる技法があります。



ウェット イン ウェットとは、最初に塗った絵の具が乾かないうちに、 上に絵の具を塗り重ねることでぼかしやにじみ効果を作る技法です。

バックランも手順はほぼ同じなのですが、絵の具を重ねるタイミングがポイントで、 先に塗った絵の具が乾きかけたころを狙って、水を含んだ絵の具を落とします。



ウェット イン ウェットでは、最初の絵の具の上に次の絵の具を重ねると、 ふわっと大きく色が広がりましたよね。

ですが、バックランのように「ぬれているけれど、水はほとんど残っていない」という状態で次の絵の具を置くと、 絵の具が大きく広がらず、小さい花火のような不思議な形ににじみます。

これがバックランです。




このバックランでは水で溶いた絵の具と絵の具を重ねるほか、 水で溶いた絵の具の上に「水」を重ね塗りして模様を出す場合もあります。


水で溶いた絵の具の上に、同じく水で溶いた絵の具を重ねた様子


こちらは水で溶いた絵の具の上に、単なる水を置いただけ

いずれも面白い模様に仕上がっていますよね。



ちなみになぜバックランと呼ぶのかですが…

一般的なウェット イン ウェットでは絵の具でぬれた紙の上に別の色を重ねると、水の上を滑っていくような感じで重ねた色が大きく広がります。

ですがバックランのように、下に塗った絵の具が乾きはじめたところに絵の具を重ねる場合だと、絵の具の顔料を周囲に広げられるだけの水がありません。

加えて、下に塗った絵の具の顔料が紙に定着しはじめているために、 その顔料に上に重ねた色が押し戻されるという現象が起こります。

結果、上に重ねた絵の具がところどころ逆流し、波打つような模様ができるというわけです。

絵の具が逆流するので、バックラン(逆に走る)と呼ぶのですね。



このバックランでは、水の状態で模様の出方が大きく変わるため、思い通りの模様を作るのは正直言って難しいです。

ですが普通に絵の具を塗っただけでは成しえない表現ができるため、アイデア次第でいろんな楽しみ方があると思います。

ドライブラシ

乾き気味の筆で塗ることで、かすれたような質感を表現できる「ドライブラシ」という技法もあります。



これは使われている方、多いのではないでしょうか?
ドライブラシ

絵の具をつけた筆の水分をふき取り、その状態で塗る技法

主にはカサカサっとした乾いたような質感を表現したり、表面の細かな模様を演出したいときにも活用できます。

筆にどの程度の水分を残すのかによって「かすれ」具合を変えることができるため、 慣れるといろんな表現ができるようになるはずです。

私自身もこのドライブラシは、よく活用します。

リフティング

リフティングとは、一度塗った絵の具を取り除く技法のこと。

例えば濃く塗りすぎてしまったときやはみ出してしまったとき、筆やティッシュを使って絵の具を押さえると、 その部分だけ色を薄くすることができますよね。
リフティング

塗った絵の具を取り除く技法

やり方ですが、絵の具を塗った個所がまだぬれている場合は、そのまま筆やティッシュで水分を吸収させればOK。

乾いてしまっている場合でも、たっぷりの水を含んだ筆で軽くこすって絵の具を浮かび上がらせれば、 ふき取ることができます。



例えばうっすらとした雲を表現したいけれど、筆だけだと微妙な形を表現するのが難しい場合もありますよね。

そんな時にこのリフティングを利用すれば、とらえどころのない形の雲も以下のようにそれらしく表現することができます。



私はというと、リフティングで微妙な明暗を表現したり、 綿棒を使って絵の具をふき取ることで、細い線を表現したりすることもあります。

なかなか便利な技ですので、上手く使いこなせると重宝しますよ。

スプラッタリング

思い通りにするのが難しいのですが、スプラッタリングという技法も使えるとなかなか面白いです。

その言葉の意味通り、絵の具を飛び散らせることで効果的な表現を行う技法で、 背景の模様やモノの質感を表現するために利用するほか、わかりやすいものだと水の飛沫を表現するのにも使えます。



スプラッタリング

絵の具を飛び散らせることで、効果的な表現を行うための技法

やり方自体は簡単。

紙の上で、水で溶いた絵の具をたっぷりと含ませた筆を持ち、筆を細かくたたいて絵の具を落とします。

強くたたきすぎると大きな滴が落ちてしまう恐れがあるため、軽く細かくたたくのがコツです。



なお、飛び散った絵の具が意図しない部分に付着するのを防ぐために、あらかじめマスキングテープなどでカバーしておく必要があります。

紙の周囲にも飛び散ることがあるため、キッチンペーパーや要らない紙などでカバーしておくと安心です。



先にも述べたように、このスプラッタリングは不確定要素が大きく、意図したように模様を出すのはかなり難しいです。

作品に利用する場合は、ある程度別の場所で練習してからやった方が安心だと思います。

スクラッチング

スクラッチングは、紙をひっかくことで線を表現するための技法。

ものすごく細い線を筆で表現するのは難しいですが、スクラッチングを利用すれば、 筆では表現しづらいシャープな線もきれいに出すことができます。

例えば動物の白いひげや毛など、塗り残しがしづらい細い線を表現するのにはかなり便利な技法です。

スクラッチング

紙をひっかいて削ることで、細い線を表現する技法

スクラッチングをする場合は、カッターのとがった部分を横に向けて紙を擦るように削ると、きれいにできます。

弱い&薄い紙を使っている場合や、カッターで削るときに力を入れすぎると紙が破れてしまう場合があるため、ご注意ください。

あと失敗すると修正が効かないため、作品に使用する前にある程度練習されることをおすすめします。

マスキング

透明水彩では基本的に白は使いません。

色を塗らないことで、紙の色を生かして白を表現しますが、塗らないということが難しい場合もありますよね。

例えば、塗り残したい部分がものすごく狭い範囲だったりすると、うっかり塗ってしまう危険があるわけです。

そんな残念な事態を防ぐために、以下のようなマスキング用の道具を使って、塗らない部分をあらかじめカバーしておきます。
マスキング

塗り残しをする場合に使う技法

きれいに塗り残しをしたい場合、マスキングは必須です。

やり方や必要な道具については以下の記事で説明していますので、興味をお持ちの方は目を通してみてください。

参考:透明水彩で白色を表現する場合のマスキングインク活用方法

最後に、塩を使った技法について。

たっぷりの水でウォッシュしたあとに塩を散らすと、乾いたときに結晶のような粒上の白抜き模様ができます。

ウォッシュしたあとに塩を散らすことで、模様を表現する技法

使用する紙や、紙の表面に残っている水の量により、模様の出方は大きく異なります。

紙の上に残っている水が多ければ多いほど大柄な模様が、少なければ粒状の細かい模様が出ることが多いです。

この技法による表現は不確定要素が大きいため、安易に利用はできませんが、 筆では出すことができないような表現をしたいときに便利です。

使ってみようかなという方は、 まず自身が普段使っている紙で試してみるとよいでしょう。



塩を使った技法については、以下の記事でコツなどを詳しく解説していますので、 興味をお持ちの方は目を通してみてください。

水彩画の塩加工(技法)がうまくいかない… 水彩画を塩で装飾するコツについて解説

頭にいれておくといざというときに活用できるかも

ここまで、知っていると便利かもしれない水彩の技法をご紹介しました。

今回ご紹介した技法は、必ず知っておかなくてはならないようなものではありませんが、 使いこなせれば、普通に筆を使っているだけではできないような表現が可能になります。

描く絵によっては活用できる場合もあるかもしれませんので、 「こういうものがある」ということを頭に留めておくとよいでしょう。

参考にしていただけますと幸いです。


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